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チームを活かすためにコードレビューはモブレビューでやると良さそう

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開発プロジェクトにおいて、コードレビューは品質保証の不可欠なプロセスの一つですがなかなかうまくやるのは難しいです。

特に大きなプルリクエストのレビューはレビューワーの負担も大きくレビューの品質が時期や人によって変動する問題があります。

従来の一人で行うレビュー方法も有効ですが、大規模なプロジェクトや複雑なコードに対しては、「モブレビュー」というアプローチが選択肢にあります。

本記事では、モブレビューの概要から、その実施にあたってのベストプラクティスやアンチパターンを紹介します。

モブレビューとは?

モブレビューは、複数の開発者が集まり一つのタスクやコードのレビューを共同で行います。

この方法はモブプログラミングから派生したもので、チーム全員が一つの画面を見ながら一人がキーボードを操作するドライバーの役割を担い、残りがナビゲーターとして指示やフィードバックを提供します。

モブレビューで期待される効果

モブレビューは、ソフトウェア開発プロジェクトの成功に寄与する強力な方法です。

チームの能力を最大限に活用しより高品質な製品を効率的に開発するために、このアプローチを採用する価値は十分にあります。

知識の共有と学習の促進

モブレビューでは、チームメンバーが一堂に会してコードをレビューすることで、個々の知識と経験が共有されます。

これにより、特定の技術やプログラミングパターンに関する理解が深まり、新しい解決策やアプローチを学ぶ機会が増えます。 結果として、チーム全体のスキルセットが向上し、個々の開発者の成長を促進します。

コード品質の向上

複数の目でコードを精査することでバグや潜在的な問題点を早期に発見し、修正することが可能になります。

さらに異なる視点からのフィードバックを通じて、コードの可読性や保守性が向上しより堅牢なソフトウェアを開発することができます。

チームワークとコミュニケーションの強化

モブレビューは、チームメンバー間のコミュニケーションを促進し、協力して問題を解決する文化を醸成します。

このプロセスを通じてチームの結束力が強まり相互理解が深まることで、より効果的なコラボレーションが可能になります。

効率性と生産性の向上

意思決定プロセスが加速されタスクの完了速度が上がることで、プロジェクトの生産性が高まります。

モチベーションの向上

チームとして共有の目標に向かって作業することで、個々のメンバーの達成感と満足感が高まります。

また、自身の貢献がチームの成功に直接影響を与えることを実感することで未熟なメンバーや新しいメンバーもモチベーションが向上しやすくなります。

柔軟性と適応性の向上

異なるバックグラウンドを持つチームメンバーからのフィードバックを受け入れることで、新しいアイデアやアプローチに対する柔軟性が育まれて変化する要求や新たな課題に対して迅速に適応する能力が向上します。

モブレビューの実施方法

モブレビューを効果的に行うためには、以下のステップを踏みます。

  1. 準備: レビュー対象のコードを選定し、参加者がアクセスできるようにします。
  2. ロールの割り当て: ドライバーとナビゲーターのメンバーを明確にし、定期的に交代します。
  3. レビューの実施: ドライバーが画面を共有し、ナビゲーターの指示に従いながらコードのレビューを進めます。
  4. 意見の共有と改善: コードに関する意見や提案をオープンに議論し、合意に至るまで話し合います。

モブレビューのベストプラクティスとアンチパターン

モブレビューをする場合、以下の事に気をつけると良いでしょう。

ベストプラクティス

  1. 明確な目的の設定
    • モブレビューを行う前に、目的を明確にしておくこと
    • レビューするコードの範囲、特に注目すべきポイント、現在気になっていることなどを明確にする。
  2. 参加者の準備
    • 参加者はレビュー対象のコードに事前に目を通し、議論や質問を準備しておきレビューの時間を有効に活用できるようにする。
  3. 役割のローテーション
    • ドライバーとナビゲーターの役割を定期的に交代させることで、全員が積極的に参加し、さまざまな視点からのフィードバックを得ることができるようにする。
  4. タイムボックスの設定
    • 一つのレビューセッションにかける時間を事前に決めておく。
  5. 肯定的なフィードバックの提供
    • レビューでは改善点だけでなく、良い点にも注目し肯定的なフィードバックを提供する。
    • ポジティブな雰囲気を維持し、チームメンバーのモチベーションを高める。
  6. 合意形成の促進
    • 意見の相違がある場合は、オープンな議論を通じて合意に至るよう努める。
    • 全員が納得する解決策を見つけチームとしての結束力を強化し、プロジェクトの成功に近づける。
  7. 記録の保持
    • レビューの過程での議論点や決定事項を記録しておくことで、後で参照できるようにする。
    • 同じ問題に対する議論を繰り返すことを避けることができる。

アンチパターン

  1. 一人が支配する状況
    • レビューが一人の意見によって支配される状況は避けるべきです。全員が平等に意見を述べることができる環境を整えることが大切です。
  2. 過度の批判
    • 批判的なフィードバックが過度になると、チームメンバーのモチベーションを下げ、ポジティブな雰囲気を損ないます。建設的な批判を心がけることが重要です。
  3. 目的の見失い
    • レビューの目的から逸脱して、関係のない話題に時間を費やすことは、時間の無駄につながります。常にレビューの目的を念頭に置き、議論を進めることが重要です。
  4. 疲労の無視
    • 長時間にわたるレビューセッションは参加者の疲労を引き起こし、効率と品質の低下につながります。適切な休憩を取り入れることが大切です。
  5. 準備不足
    • レビューに適切に準備されていない参加者は、議論の質を低下させます。事前の準備を徹底することが重要です。
  6. コミュニケーションの欠如
    • オープンで率直なコミュニケーションが行われないと、誤解が生じやすくなります。全員が自由に意見を交わせる環境を整えることが大切です。

最後に

モブレビューを成功させるためにはこれらのベストプラクティスを積極的に取り入れ、アンチパターンに陥らないように気をつけて繰り返したいものです。

モブレビューは、ただのコードレビュー手法にとどまらず、チームビルディングや学習のツールとしても機能します。

このアプローチを取り入れることで、開発プロセス全体が変革され、より協力的で、より生産的な環境が生まれやすくなります。
大規模なプロジェクトや複雑な課題に直面しているチームにとって、モブレビューは有力な選択肢となり得ますので参考になれば幸いです。