Webデザイナーをもう8年くらい続けてますが、じゃあこの先もう10年Webデザイナで働けるか、そもそも仕事があるのかというのを時々考えます。
自分の肌勘と業界の傾向から自分なりの意見でまとめてみますので、同じように悩んでる方の参考になれば嬉しいです
需要面から考えるWebデザイナーの将来性
DODA社の2018年度下半期転職市場予測にもあるようにクリエイティブの職種は増加傾向にあります。
また傾向として、Webメディアの広告費はどんどん上がっています。
逆にいわゆる「4マス」(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)の広告費は横ばいもしくは減少傾向にあるので、需要としては「わかりやすく」伸びています。
今はインターネットは新聞を抜いて、テレビの次に広告費がかけられている巨大メディアに成長しました。
もちろんWebのデザインはメディアだけではなく、アプリなどもありますがこちらも増加傾向にあります。
Webデザインの案件そのものは今後も増えていくでしょう。
近年のWeb制作会社の需要
ここ5年くらいはスマートフォンの対応やレスポンシブデザインが当たり前になり、従来のデザインから作り方・考え方がどんどん変わってきて、もうそれが落ちいてきた感じがあります。
一時期はレスポンシブやWordPressで作れる人が限られており、そのあたりのニーズも落ち着いてきた感じがあります。
受託会社に限らないのですが、制作の現場では下記のような意見を私の周りでよく聞きます。
- CMSがあるので、デザインは社内できて内製するのでWeb制作会社の組む機会が減ってきた
- ちょっと困った事があるときはフリーランスに外注する方がコストパフォーマンスが良い
- Webサイト制作ツール(Wixやjimdoなど)・マーケティングツールのおかげでコーディングが不要なシーンが増えてきた
- SNSやGoogleマイビジネスなど手軽にサイトに変わるものを持つことが出来るようになってきている
こういった声と自分の肌勘を感じると、簡単なことやマーケティングの部分を自分たちで行い、専門知識や難しいと感じる部分に対しては外部に依頼するという2分化が起きています。
Webデザイナーがなくなる可能性
よく、Webデザイナの仕事が無くなるという声を聞きますが、実際は「無くなる」ではなくて必要とされる領域が変わるってきているだけですので、「仕事がなくなると言っている」Webデザイナの方は、こういった変化についていけなっただけなのではと思います。
近年では新しいソフトがどんどんでて、組み合わせで素人でもいい感じに作れたり、簡単になっています。
実際どんどんと自動化や単純化されている部分ありますので、Webデザイナーいらないという声が増えるのは理解はできています。
しかしながら普通にWebデザイナの仕事はありますし、今後も減るというわけではないので、ご心配なく。
特に、ビジネス面で結果を出せるWebデザイナーであれば、こういった自動化や単純化の流れに影響されずに依頼を請けれています。
Webデザイナーにおけるニーズの変化
Webデザイナーに需要も将来性があることは間違いないのですが、今と同じことや昔と同じことが出来るというだけでは、ニーズに応えれず出来る仕事がどんどん減っていく傾向にあります。
例えば、ディレクターの指示に従うだけの「モックを作ったり、Webサイトのパーツを作ったり」するだけの「作業者」であればあなたで無くても良いという事になり、指名される事がなく報酬も少ないのがベースになりやすくなります。
単純に求人数などを見るだけではなく、どの業務にWebデザイナー(あなた)のスキルが必要とされているかを考えて自分のWebデザイナーとしての将来のスキルを高めることが重要です。
10年前のWebデザイナーの主な業務内容
私の周りで2009年頃のWebデザイナの主な業務は下記のものでした。
- Photoshopでワイヤーを作る
- ディレクタの指示の元、デザインをする
いわゆる分業制がメインでコーディングとデザインがきっちり分かれる制作工程で行われていました。
分業制については、下記の記事でまとめています。
5年前のWebデザイナーの主な業務内容
私の周りで2014年頃のWebデザイナの主な業務は下記のものでした。
- Photoshop/Illustratorでワイヤーを作る
- ワイヤーやデザインをベースにコーディングを進める
- いわゆるインブラウザデザインです
- jQuery/CSSでのアニメーションやレスポンシブの対応をする
- WordPressのテーマを自分で作る
この頃になるとコーディングが出来るWebデザイナというのが主流になってきています。
特にCSSあたりは当たり前でjQueryやWordPressまで出来るとかなりニーズに応えられるWebデザイナになります。
2018年のWebデザイナー
最近私が行っているものになるのですが、Webデザイナとしての主な業務は下記のものです。
- 開発要件からマーケティングを踏まえてデザイナーとして参加する
- ビジネス要件を踏まえて、クライアントと同じ目線でコミュニケーションを取る
- いわゆるチーム体制の構築
- サービスのゴールを元に、Sketch/adobe XDでワイヤーを作る
- ワイヤーやデザインをベースにコーディングを進める
- WordPressやpugなどで動作するものも組み込む
- jQuery/CSSでのアニメーションやレスポンシブの対応をする
- Vue.js/angular/reactなどで動的なページを作成する
- gitを用いてエンジニアと連携をする
- 解析・改善を自ら行う
JSフレームワークの登場から、Webデザイナにもフロントエンドの知識が求められるようになります。
以前からgitの需要は有りましたが最近はWebデザイナにもgitの利用が求められてきています。
特にエンジニアと組む必要がある案件の場合はニーズが高いです。
またクライアントから指名やリピーターで案件を貰う場合は、開発当初からWebデザイナがビジネス要件を理解することが求められており、その結果運用中の解析・改善も任せたいというニーズにが高まっています。
Webデザイナとして生き残るために知っておくべきこと
さきほどWebデザイナのニーズの説明をしました。
Webデザイナは仕事が無くなるわけではないが、ニーズの少ないスキルであれば報酬・給料がどうしても低くなってしまいます。
ひどい現場の話であれば、コンビニのバイトなどと同じ時給ということもあります。
ちなみに私の新卒のときの給料はこれですw(ボーナスはあったのでなんとか生活できましたが、一人暮らしだったので生活にそんなに余裕はなかったです。)

Webデザイナー年収の状況
Webデザイナーの平均年収は350万円前後みたいです。
(出典:平均年収ランキング 最新版(166職種の平均年収/生涯賃金)、WEBデザイナーの年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計))


私もここにある平均以上の給与はもらっていますが、4,5年Webデザイナを続けてる方でもこの平均以下の方もいらっしゃいます…。
※別にその方のスキルが低いというよりは、スキルを評価できる基準が会社に無いケースもありますが…
一般的なスキルWebデザイナと専門スキルのあるWebデザイナの格差
Webデザイナだけの話ではないのですが、スキルによってベースの給与は変わります。
これは業界歴や年齢が大きく影響されるものではありません。
ニーズのあるスキルを持っている人であれば、経験年数や年齢が若くてもこの平均以上の給与はもらえます。
逆に業界歴が長くても、出来ることが数年前のニーズのままですと転職のときに給与が下がるという事が珍しくありません。
もちろん、年齢が上になるとマネージメント層に迎えられやすくもなりますが、最近はマネジメント能力も面接で結構見られる(私は見てる)ので、業界歴が長いなどが有利に働くシーンが少なくなっているように思えます。
特に中途採用での転職の場合、高い基準で選考されるケースが多いように感じます。
※悲しいことに給料はそんなに変わらないですが。
ですので、自分の強みとなるスキルをアピールできないと、売り手市場と言われるこの業界でも苦労をされるみたいです。
参入の低さと競争力の高さからくる給与面の悩み
正直なところ、Webデザイナ一本で生きるのは正直難しいという気もしています。
なぜなら、スキル面においては学びやすくなっており、他業種から様々な方がWebデザイナになってきているからです。
しかもそういった方たちは基本的には学習意欲が高く成長スピードも早い方たちが多いので、これまでと同じやり方で続けていた人たちと早いタイミングでWebデザイナのスキルが均衡してしまうからです。
実際2,3年くらい製作会社に勤めてフリーランスのWebデザイナになっている人たちは5年前に比べてすごく増えています。
そういった面から人とスキルが飽和してくると、制作単価や報酬面が下がっていきますので、需要の高いスキルを持っていないと、平均値を超える年収を上げるのが難しいというのが今の状況かなと思います。
ですので、平均値の年収より低めの方が多く、一部の需要のあるスキルを持った方が高い報酬で働いてるような印象です。
実際、経営者の方達からも「この人がいなくなったら困る」というのが、「無理を聞いてくれる人」から「この人でないとできない」みたいな人を評価してる傾向を聞きます。
転職すると給料・年収が上がるのか
基本的に給与は売上が上がらないと、上がるのは難しいので根性で頑張る人やこれまで長く会社にいた人を評価するよりも、今売上を上げている要因が何かを見つけてそれを評価する人事制度に変わりつつあります。
特に人手不足に困っていて、成長している企業さんは。
ちなみにですが、WordPressができるから急に給料が高くなるというのはありません。
これは結構誤解されるのですが、需要があるスキルといっても、WordPress=売上が上がる(利益が出る)というわけではありませんので、その案件できちんと利益を出せないとどんなにWordPressのスキルがあっても、給与はそんなに上がらないです。
もちろんWordPressでサイトを作れるだけなら、他にもたくさんそういった Webデザイナがいるという背景もありますが。
ですので、売り手市場と言われてるこの業界でも転職を重ねる・人気のあるスキルがある = 年収が上がるなんてことはないです。
もちろんニーズの高いスキルを持っていて、その企業とマッチングできれば年収は上がります。
※私はそれで年収上げていってます。
転職するときは自分で「自分が結果を出しやすいポジション」を考える
余談になるのですが、転職するときの目線が最近変わってきました。
特に気にしてるのは下記の2つです。
- 業績を上げていってる会社か
- 自分が短期で結果をだせるか
これまでは、自分が(短期・長期を考えず)結果をだせるかという点で見ていましたが、こう何年も会社員していると長期の目線で結果を出せるかどうかは会社に入ってみないとわからないものでした…。
しかし短期であれば、その会社の特定の部分のNo.1になれるくらいの肌勘を面接などから読み取れるのでそういった企業のオファーに熱意を持って接していました。
新しいポジションや事業が出来た時に「任せてみよう」と思ってもらえる活躍をしていること、会社から信頼感を勝ち得ていることが重要です。
あとは、単純に年々儲けてる(業績が右肩上がり)会社というのも重要で、「潰れない」や「安定」みたいな視点だとなかなか給料も上がらない(利益に変化がなければ当然ですよね…)ですし、なにより人の替えがきくような状態になりやすいので、評価自体もされにくいです
最近Webデザイナーに求められているものの傾向
Webデザイナと言っても幅広いので、主に私とその周りの経験での話になりますが、デザインに期待とよりは利益を上げてほしいという期待値が高い印象です。
特に2018年に経済産業省から発表された、「特許庁の「デザイン経営」がスタートします」から多くの人が口にするようになってきた感じがあります。
デザイン経営で言われてることは、簡単に言えば「デザインの価値はみんなが思ってるより高いよー」みたいな感じなのですが、じゃあこれですべてのデザイナの価値があがるかと言われるとそんなことは一切有りません。
逆に、「こういうことが出来る・説明できるデザイナですか?」という目線で見られる機会が増えました。
この発言はデザイナとしても、色々考えさせられる発表で、「自分は何のスキルがあるからサービスを向上させる事が出来るか」が言えないと評価はされにくいという空気を感じます。
Webデザイナにマーケティングや解析のスキルを求められるのも、このあたりの理由でどれだけ自分が関わることで再現性を出せるかという説明を見える化できる点が影響しています。
現実的なWebデザイナーの状況(自分の周り)
これまでお話したようにWebデザイナと一言で言っても出来ること・得意なことは結構まちまちです。
分業制など会社の方針もあるので、一概に最低基準とかは言えないのですが、私の周りですと下記のスキルを持っている方は大半です。
- Webサイトをデザインするスキル
- CSSでコーディングをするスキル
あれ?少ない…と思われるかもしれませんが、あくまで最低基準です。
これらに加えて、WordPress、写真撮影、業界特化の知識、ディレクション能力などを組み合わせて自身のスキルにされています。
私は分業の開発フローは苦手なのですが、まだまだ分業制中心の開発フローでされてるところは多い気がします。
若い方ですと、フロントエンド周りに興味を持つ方が多い気がしていて、アニメーションやJSを駆使したサイトを作るスキルを持った方が多いですね。
他にもニーズのあるスキルをたくさん持っている方は、会社員ではなくフリーランスという選択をされる方も多いです。
会社という小さな枠で自分を売るよりはより大きな枠で自分を売りにいけると判断された方だとフリーランスのほうが生きやすいのかなとは思います。
※別に会社員・フリーランスどっちがエラい・スキルがあるという話ではありません。
スキルアップの方法
私もずっーーとスキルアップをしてるのですが、実感として一番効率が良かったのが副業をすることでした。
もちろん結果が出るまでは時間がかかるのですが、アウトプットするのが前提になるので薄っぺらいスキルにはならずある程度現実的に使えるスキルと様々な経験を踏めるので普段業務で携われない部分も覚えるきっかけができます。
もともとは本で勉強したりというのが多かったのですが、正直「覚えたもの実際に使えるシーンが少ない」みたいな状況が続いてまして、副業で学ぶ感じにするとゴールを設定して自分のペースで着実に進めるのでやりやすかったです。
複業・副業の始め方にかんしては以下にまとめています。
Webデザイナーで副業の始める前に考えること
在宅で始められる!Webデザイナで活躍する副業の始め方
将来性を持ってWebデザイナーとして生きていくためには?
色々な考え方があるかと思いますが、私はシンプルに「強み」を持つ考えています。
スキルをたくさん覚えたところで、クライアントや企業に「この人は色々できるけど、何が得意なんだろう?」と悩ませてしまってはなかなか選んでもらえません。
逆に「私は〇〇が得意です」みたいな事を説明できれば、相手も納得してもらいやすくなるので、高単価でのマッチングがしやすくなります。
もちろん「強み」と言っても、需要の少ないところだとマッチングも難しくなるので需要のあるところでの強みを獲得したほうが生存確率は上がります。
私の場合は、プロトタイプ開発が得意(プログラマとの連携が得意)でかつ、解析・改善ができるので、スタートアップ企業の方たちに評価をされやすいです。
また、マーケティングの知識もあるのでプロジェクトの価値や届け方などの理解も早いのでそういった面も評価されています。
知識・経験と掛け算で強みを作る
スキルの話をしましたが、じゃあどうやればニーズのあるスキルになるかというと、知識と経験を組み合わせてニーズのあるスキルにします。
例えば、不動産業界の知識 ✕ デザインであれば不動産業界に強いデザイナになれるので、他の何が得意なのか曖昧なデザイナよりも評価はされやすいです。
他にも解析 ✕ コーディングスキルとかであれば、自ら数字で提案してくれて、かつコーディングも自分に行ってくれる安定感は運用を一気に任せたいデザイナとして評価されます。
今、誰が何に困っているかが分かれば、こんな感じでスキルを組み合わせることで評価されやすいスキルというのを作り出せます。
リモートワークで自分を売る
リモートワークをめちゃくちゃ推奨するような言い方になりますが、リモートワーク自体が万人向けではないので、合わない人は無理して行う必要はないです。
ただリモートワークが可能になると、クライアントや企業からの選択肢が一気に増えるので生存確率が一気に高まります。(転職のときに私はこのメリットを無茶苦茶感じました)
近年フルリモートワーク可の会社も右肩上がりで増えているので、強みというわけではないですが自分をリモートワークができる状態にしておくのはオススメです。
自己ブランディングできるか
私はあまり得意ではないのですが、自分の強みを発信してマーケティングをするのも大事ですね。
例えば登壇回数を増やして認知を上げたり、NOTEなどの記事でバズって注目を集めたり、SNSで普段からブランディングをするというのもありです。
このあたりができるようになると、指名で依頼がくるチャンスに恵まれるので、変なクライアントが少なかったり、単価高めの依頼だったりする傾向があるので、生きやすくなります。
もちろん、そんな営業みたいな事しなくても仕事来るしとい言う人もいるでしょうが、新規開拓や単価を上げるチャンスにも繋がります。
なお、私が得意でないのは飽き性なので一貫性とモチベーションが薄いからです…。
なぜわたしがWebデザイナを続けるか
私がWebデザイナを続ける理由は、シンプルに生きやすいからです。
ITの業界も伸びているので仕事自体が無くなることはまずないですし、ニーズについていけば良いだけですので、長期的な面で不安が少ないです。
また、リモートワークのように場所を選ばずに働けるので体を壊してしまったり、親の介護など予期せぬ自体が起きても対応が非常にしやすいという事も理由にあります。
他にも副業がやりやすいなど、何か起きたときのリスクが非常に少ない職業だとは思っています。
変化が早いのでついていくのが大変みたいな苦労はありますが、もともとスキルアップとか好きなのでそんなに私自身は全然そのへんを苦には感じていないです。
もちろん苦手な分野はあるので、得意分野を中心に伸ばていっているので、楽しいという面もありますが。
この業界は安定はないと思われがちですが、一気に大きな変動が起こるものではないので時代の流れを読めさせすれば個人の肌勘で業界内を自由に行き来できます。
こいうった言い方は、少しズルく聞こえるかもしれませんが「変化に適応し続ける人がWebデザイナのメリット総取りできる」くらいの感覚でいます。
最後に
Webデザイナは給料が安い、将来性がないなど、ネガティブなことを言われがちなのですが、私のように普通に働いてる人からすると全然そんな感じはありません。
まだまだ、業界も人も成長状態なので新規の参入も自分が伸びるのも簡単です。
いわゆる、「これをやっておけばOK」みたいな業界ではないですが、自分の頭で考えて過程を考えれる人には結構向いてる職種だと思います。
フリーランス・リモートワーク・会社員・複業色々な働き方もしやすい職種なので、あなたにあった働き方・生活のしかたを見つけてくださいね(ゝω・)
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